彼は社会構造の動態的分析に関心を持ち、アノミーと準拠集団について分析した。
彼のアノミー論は、社会構造と文化構造との区別に端緒を持っている。人々が望む「文化的目標」と、その目標を達成するための「制度的手段」との選択から、「同調」「革新」「儀礼主義」「逃避主義」「反抗」という個人の適応様式5つをあげ、「同調」以外はアノミー的傾向を持つとした。
また、
準拠集団とは、集団内の価値や意味づけが自己の評価や態度形成の規準となる、ーすなわち<準拠枠>となるような社会集団のことである。
彼は、準拠集団には行動決定の際の<
規範的機能>と、評価基準となる<
比較機能>があると指摘した。そして、人々が依拠する準拠集団はその人にとって所属している集団である場合もあるが、、所属していないにしてもその集団を理想としてそれに準拠する事もあると述べた。さらに、人は複数の準拠集団を持ちうるが、それは個人の内部で葛藤を起こす場合もあることを指摘した。
このようにして彼は、社会と人々との関係や作用、すなわち機能という観点から徹底して社会というものを観察したのである。