人々の社会内の序列や位置を表現する時、階級や階層という概念が用いられる。
階級(class)の概念は、マルクスによる
生産手段の所有と非所有とそれに基づく生産関係における地位の相違に基づく支配/被支配の関係など敵対的な集群を指すものという定義が一般的である。この階級という概念は歴史的概念であり、階級間には断層が見られ、社会的不平等を指摘することに一つの特徴がある。そして、それぞれの階級に属する人には共通意識としての
階級意識(class consciousness)がもたらされることになる。
一方、
階層(social stratum)とは、
職業、収入、学歴など個人に分配された指標に基づく社会的地位(social status)にもとに人為的、操作的に区分された人々の集群を指すものである。従って、連続的差異における社会的地位の差異であるといえる。その意味で、階層は階級と異なり非歴史的概念であり、操作的な分類概念である。
この階層が上下に積み重なった構造、すなわち社会的資源の配分状況に応じて複数の階層を段階的に配置した階層構造の総体を特に
社会成層(social stratification)という。そして、
全体の中でどの層に位置するかという主観的な所属階層に関する意識を
階層帰属意識(stratum consciousness)と呼ぶ。