社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


カテゴリ:20世紀の理論(構造=機能学派)( 6 )



ホマンズ(社会的交換理論)

ホマンズ(1910~1989)は、社会的現象は行動心理学の命題によって説明可能と主張し、独自の社会交換理論を提唱した。

彼は、小集団における社会構造の発現、維持、影響、変動のプロセスに関心を寄せ、行動心理学者スキナーから5つの命題を援用して分析を行った。

5つの命題とは①成功命題(ある行為に対する報酬が多ければ多いほど、その行為を行う傾向が高くなる)、②刺激命題(過去の行為の経験を基準とし、現在の行為を決定する≒刺激に対する反応)③価値命題(行為者にとって価値が高ければ高いほど、その行為を行う傾向は高くなる)、④剥奪ー飽和命題(ある行為に対する報酬を得ることが多くなればなるほど、後に得る報酬の価値はその人にとって低減する)、⑤攻撃ー是認命題(期待以上の報酬を得ることができなかったり、また罰を受けたりしたとき、攻撃的行動をとる傾向が高くなり、逆に期待以上の報酬を得られたり、予期した罰を受けずに済んだ時、是認的行動をとる傾向が高くなる)である。


そして彼は、人々の社会行動は、物質的、精神的報酬となる活動の交換として捉えた。これらをもとに、対人関係、地位や権力関係の分析、社会における人々の規範への同調、非同調などを分析した。このように彼は、交換という行為を人々の相互作用過程のなかに特徴づけ、そこから社会というものを見ているのである。
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by ksnksociology | 2006-04-15 06:28 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


マートン③(アノミー論と準拠集団論)

彼は社会構造の動態的分析に関心を持ち、アノミーと準拠集団について分析した。

彼のアノミー論は、社会構造と文化構造との区別に端緒を持っている。人々が望む「文化的目標」と、その目標を達成するための「制度的手段」との選択から、「同調」「革新」「儀礼主義」「逃避主義」「反抗」という個人の適応様式5つをあげ、「同調」以外はアノミー的傾向を持つとした。

また、準拠集団とは、集団内の価値や意味づけが自己の評価や態度形成の規準となる、ーすなわち<準拠枠>となるような社会集団のことである。

彼は、準拠集団には行動決定の際の<規範的機能>と、評価基準となる<比較機能>があると指摘した。そして、人々が依拠する準拠集団はその人にとって所属している集団である場合もあるが、、所属していないにしてもその集団を理想としてそれに準拠する事もあると述べた。さらに、人は複数の準拠集団を持ちうるが、それは個人の内部で葛藤を起こす場合もあることを指摘した。

このようにして彼は、社会と人々との関係や作用、すなわち機能という観点から徹底して社会というものを観察したのである。
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by ksnksociology | 2006-04-13 08:55 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


マートン②(機能概念の整備)

彼は、自らの基本的視座に<機能概念>を据え、社会構造とアノミー、準拠集団論、マス・コミュニケーション論、科学社会学などについて社会理論の構築に取り組んだ。彼は機能主義的理解について「社会学的解釈の諸問題を取り扱う現代の研究方法の中で最も有望である反面。恐らく最も系統だてて整理されていないもの」と指摘する。

彼は機能を考える際、当事者による主観的側面でなく、第三者によって観察された客観的側面に焦点を当てる。そして機能概念を「一定のシステムの調整や適応に貢献する客観的結果」と定義した。
そして新たに、順機能逆機能という対概念を設定した。<順機能>とは一定のシステムに積極的な貢献をなすものを指し、<逆機能>とは負の貢献をなすものを指す。この概念の導入によって、均衡や不均衡、静態と動態とを統合しうる機能分析が可能になった。特に<逆機能>概念の導入は、社会構造内のひずみや矛盾、緊張や葛藤の測定を可能にした。

これに加え彼は、行為などの客観的結果と主観的意向とが一致する場合を<顕在機能>、一致しない場合を<潜在機能>と区分した。これにより、一見非合理的な社会現象について、潜在的な機能を見出すという視点から、背後にある問題まで深く分析することが可能になり、潜在機能を含むより広範な研究領域の拡張がなされることになった。
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by ksnksociology | 2006-04-13 08:25 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


マートン①(中範囲の理論)

マートン(1910~)は、パーソンズと並び社会学的機能主義を代表する学者の1人である。彼は従来の機能概念の洗練化を行い、現代社会の構造分析を試みる。
しかし彼は社会構造や機能に注目するという点ではパーソンズと同じ方向性を持ってはいたが、一般理論の構築には批判的である。彼は現段階においては、小規模の作業仮説に基づく実証的研究と一般理論とのギャップを埋め、統合、仲介するような「中範囲の理論」の整備拡充を強調した。

「中範囲の理論」は、単純経験の一般化ではなく、一般理論の特殊な仮説でもない。特定の事象に限定されてはいるものの、<理論>と<調査>との相互作用を通じ、確実に経験科学的な根拠をもつ理論である。彼は、全体包括的な一般理論は現段階では時期尚早として、特定の限られた範囲に適応できる特殊理論を開発することが先決だと主張した。そしてそれを前提に、中範囲の理論はやがて一般理論へと統合されていくべきだと考えた。つまり「中範囲の理論」は、一般理論構築のための基礎的作業なのである。
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by ksnksociology | 2006-04-13 08:05 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


パーソンズ②(AGIL図式と社会システム理論)

パーソンズは自身の理論と社会心理学者べイルズの小集団論の成果を援用し社会システム理論をさらに発展させた。それは社会システムの存続・維持とそれを担う機能について注目した理論である。

彼は社会システムの存続・維持の機能要件として次の4つを取り上げた。
適応daptation)、②目標達成oal attainment)、③統合Integratiton)、④潜在的パターンの維持及び緊張処理(atent pattern maintainance and tension)である。これら4つの機能の頭文字をとってAGIL図式と呼ばれた。これは、社会システムはその目的を達成するため、まず<外的状況に適応し目標達成の条件を整え(A)>、状況の諸要素を統制することによって<目的達成(G)>し、システムの構成単位間の相互調整を行い<統合(I)>、構成単位のパターンの維持に努める(L)というものである。
これら4機能の充足は同時になされるものではなく、A→G→I→Lという一連の運動としての位相運動であり、上位システムの下位システムに対する分担機能を意味しているともとれる。
そして、全体社会を上位体系としてAGILを適応すると、経済体系(A)、政治体系(G)、統合体系(I)、文化的、動機付け的体系(L)となると指摘する。

さらに彼は、一般化されたシンボリックメディアという概念を導入し、AGIL図式を発展させた。それはAGILに展開される全体社会の下位システム間の相互交換を想定したシステムの機能問題へのアプローチである。
彼は、全体社会の各下位システムは他のシステムから投入された資源をもとに自らが課せられた機能要件を充足し、他のシステムにとって重要な資源を産出すると考える。そして、下位部門間の資源の投入ー産出関係に着目し、その均衡を考察した。

例えば、経済体系において、経済的交換が円滑に行われ経済システムが容易に均衡に達することができるのは、<貨幣>という制御メディアがあるからだと彼は考える。そして、下位システム間の交換が全体システムを無秩序に陥らせないためには貨幣に類似したメディアが必要だとした、これが<一般化されたシンボリックメディア>であり、経済体系には<貨幣>、政治体系には<権力>、統合体系には<影響力>、文化及び動機付けの体系には<価値コミットメント>が挙げられている。

このように彼は、複数の人々の間に形成される社会システムというものから、<社会>というものを分析しようとしたのである。
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by ksnksociology | 2006-04-12 05:57 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


パーソンズ①(構造=機能分析と社会システム)

パーソンズ(1902~1979)は20世紀を代表する社会学者である。彼は社会に関する一般理論の構築に力を注いだ。彼は、初期の主意主義的行為論、中期のパターン変数、自らが考案したAGIL図式に準拠した社会システム理論、後期のAGIL図式の拡張、社会進化論、人間の条件論へと至る。彼の理論的立場は構造=機能主義と呼ばれ、20世紀の社会学研究に大きな影響を及ぼした。

彼は、行為の一般理論を拠り所にすることによって、社会に関する一般理論を創り上げようとした。その際、彼は行為を行為システムと捉え、これを個人的行為の体系であるパーソナリティ・システム、複数の行為者の相互行為の体系である社会システム、行為者の行為を方向付ける文化システムの3つの下位システムから構成されると考える。そして、晩年にはこれに行為を担う生物体の体系としての行動有機体を加えた。彼は、システムそれぞれに注意を払いながら、社会分析の中心として社会システムに着目するのである。

彼は複数の行為者の相互行為の体系である社会システムから、独自の社会理論を発展させた。彼の理論体系はその分析視座から構造=機能主義と呼ばれる。
彼は、社会システムの構成要素のうち比較的安定して変化しにくい要素を定数として確定し、それを「構造」と呼び、その確定作業を構造分析と呼んだ。
その一方で、構造の維持に関する可変的要素の作用を「機能」と呼び、定数である構造と変数である機能とを関係付ける作業を機能分析と呼んだのである。
そして、相互行為の体系である「社会システム」において彼は、「役割の体系」に注目した。それを前提に、役割相互の関係は安定しかつ体系化されていなければならないと考え、体系化された役割の複合体を「制度」と定義した。最終的には、社会システムの構造の分析は制度の分析へと収斂していくと彼は考えたのである。
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by ksnksociology | 2006-04-12 05:22 | 20世紀の理論(構造=機能学派)

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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