社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


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バーンスタインの社会言語コード理論

バーンスタイン(1927~)は、労働者階級の子供たちの教育到達度の低いことや、高等教育になじめない子供たちの問題に注目する。その際彼は、言語コードの理論をもってそれを分析、説明しようとした。彼はブルデュー同様に教育上の不成功の要因を言語に見たのである。

彼は中産階級と労働者階級の子供たちにおいて言語使用の差異を見出す。労働者階級の子供たちは、特定の集団のみ通用するような、あるいは同じ状況を共有したものにのみ通用するような話し方をするという。彼はこれを限定コードという。
それに対して中産階級の子供たちはこの限定コードを用いるほかに、特定の集団を超え、同じ状況を共有していなくても話し相手に通用する、説明的で、いわば抽象化された話し方を心得ているという。そしてこれを彼は精密コードと名づけた。

このような言語コードを身につける背景に、子供たちのおかれた家族の階級の問題があると指摘する。そして学校は精密コードを公式言語として用いるため、精密コードに慣れていない労働者階級の子供たちは学校に適応できない事態に至るというものである。
そして、このような子供たちは上の階級への昇進を妨げられ、そしてその子供たちが親になったとき、その子供も同様のプロセスを経てしまうような悪循環(再生産)の構造がそこにあると指摘するのである。
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by ksnksociology | 2006-06-22 08:21 | 学校教育と文化的再生産


ブルデューの文化的再生産論

ブルデューは、社会における階級的格差がいかに形成され、その構造が、いかに社会において正当化されるかという事に注目する。特に彼は教育という観点に注目し分析を行った。

彼は、フランスにおいて、平等な教育機会が保障されているにも関わらず、大学以上の高等教育機関への進学者において、中産階級の子供たちと労働者階級の子供たちとの間に明らかな階級間格差が生じている現実を指摘する。

そして彼はこの原因を文化資本の格差にあると指摘する。その例として文化資本の1つである言語資本を挙げる。家族によって用いられる言語資本は家族のおかれた階級的地位によって異なっており、中産階級の言語は抽象的、形式主義、婉曲語法を特徴としているのに対して、労働者階級の言語は個別特殊的、具体直接的な特徴を持っているという。

ところが、学校文化の中では中産階級の言語体系が一般的なものとして受け入れられている現実がある。そのような言語体系での教育は、労働者階級の子供たちに戸惑いを与え、さらには理解力にまで影響を招いていると指摘する。

そして、外見的には中立的で民主的な学校という枠組みではあるが、実際は中産階級優位の環境での選別が起こり、しかもそれが社会的に正当化されていると指摘した。言語や文化を身につけるのはきわめて後天的なことであるが、社会の中において、それらは特定の階級内で繰り返し再生産され、その結果として、不平等な階級格差も再生産されていると指摘するのである。
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by ksnksociology | 2006-06-22 07:10 | 学校教育と文化的再生産


ベネディクトの文化論

ベネディクト(1887~1948)は、各文化には各個人のパーソナリティと同様に首尾一貫した思考行動の型を持っていると主張する。彼女は、人類の諸文化は少なからず異なった様式、価値秩序を持っており、その多様性を内面から理解することが必要であると考える。

彼女は、アメリカ南西部のブエブロ族とその周囲にいる平原インディアンの文化の対照的差異に注目する。ブエブロ族の文化は威厳と温和を理想とし感情の抑圧や緩和などをその特徴としていた。一方、周囲にいる平原インディアンの文化は、勝利と恥辱を両極端とする感情の中に生きてきた。彼女は前者をアポロ型文化と呼び、後者をデュオニソス型文化と呼んだ。

また、彼女は『菊と刀』において罪を基調とする道徳の絶対的標準を説く西洋のキリスト教文化を罪の文化と呼び、恥が強制力である日本の文化を恥の文化と呼んだ。彼女は様式主義の立場に立ち、さらに精神分析学的考察を取り入れこの特徴を指摘した。

そこでは文化のうちに制度化されている動機、感情、価値を1つの型として取り出すことが試みられた。人々のエートスに注目して文化を考察したといえよう。
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by ksnksociology | 2006-06-22 05:06 | 文化論


ハースコヴィッツの文化論

ハースコヴィッツ(1895~1963)は、文化の伝播(cultural diffusion)を研究する中で、伝播とともに文化要素は変化を伴い、単純に文化の型が伝播されないという点に注目し、文化変動の問題を展開する。

文化変動(cultural change)はその速度や規模に関して未開社会と文明社会では大きく異なる。孤立した未開社会においてその変動はきわめて緩やかに起こっている。表面上目立たない微小で緩慢な変化が蓄積されると、一定の方向性を持った緩やかな文化変動を引き起こす場合がある。彼はこの様子を文化的漂流(culutural drift)と呼ぶ。

彼は文化の変動には、発明、発見、技術革新、人口変動などに見られる社会の内部から起こる<内的要因>と、文化の伝播、異文化との接触に基づく<外的要因>があると指摘する。
一般に、この外的要因に基づく文化の変化、特に従属的な位置にある社会の文化が支配的な社会の文化に従うように急激に変更されるような2つの社会の間の相互作用の過程を<文化変容(acculturation)>と呼ぶ。
また、文化を受容した側が部分的な要素の導入にとどまらずその文化全体を再統合し、影響を与えた文化と全く相似の文化になる現象がある。これを文化同化(culutural assimilation)>と呼ぶ。
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by ksnksociology | 2006-06-22 04:23 | 文化論


リントンの文化論

リントンは、文化とパーソナリティの関係に注目し、ある文化を共有する人に見られる基本的パーソナリティと性別、年齢別、階級別に異なる地位のパーソナリティを区別する。

また彼は、文化というものが研究者によって抽象化された構成概念という側面をもつと捉え、現実文化型構成文化型の2つの操作概念を提示する。
現実文化型とは、成員によって学習され分有された行動様式の総体を指す。
一方、ある社会の特徴を捉えようとする時、そこでは現実文化型からの抽象化が行なわれる。彼は現実文化に見られる最頻値を抽出することによって、その特徴づけを行なう。そしてその最頻値から導き出された文化の型を彼は構成文化型と呼んだ。その意味で構成文化型とは文化現実文化型の代表値であるといえる。
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by ksnksociology | 2006-06-20 06:19 | 文化論


文化の概念と定義

文化とは人間が後天的に獲得し、発達させるものであり、集団的、社会的環境にその多くを負っている。そして、文化は学習を通じて獲得され伝承されるところにも特徴がある。その構造は複合的であり、かつ、そこで一定のパターンが見られるものである。文化は人間の集団生活に密接に関係しており、そこには潜在的にしろ顕在的にしろ、集団性、社交性が反映されたものなのである。

文化に関する定義としては主に4つある。

文化を複合的全体と考えるE.Bタイラーは「広い民族誌的意味において理解すれば、知識、進行、芸術、法、習慣及び、人間が社会の成員として身につけたその他の才能、習性から成り立つ複合的全体」と定義し、また文化を分有、伝達されるものと考えるリントンは「習得された行動と行動の諸結果との総体であり、その構成要素は成員によって分有され伝達されるもの」と定義する。

また、生活様式に注目したハースコヴィッツは「文化は一団の人々の生活様式であり、一方、社会とはある生活様式に従う諸個人の組織化された集合体である。社会は人々の組成であり、彼らの振舞い方が文化である」というものや、価値に注目したクローバーとクラクホーンによる「文化とは行動に関する、また行動のための明示的もしくは暗黙裏に存在するパターンからなる。それはシンボルによって習得伝達されるものであり、文物としての具体的表現を含みつつ人間集団に特有の業績を作り上げる。文化の中核は伝承された観念及びそれに付与された価値である」という定義がある。
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by ksnksociology | 2006-06-20 05:25 | 文化論


社会移動

社会の成員が職業の変更、学歴資格の取得、婚姻などによって、社会階層上における社会社会的地位を移動すること社会移動(social mobility)と呼ぶ。社会移動の類型には、①垂直移動と水平移動、②世代内移動と世代間移動、③強制移動と純粋移動のおよそ3つを挙げることができる。

垂直移動(vertical social mobility)とは、社会的地位の上下を伴う移動を指す。より上位の社会的地位の階層への上昇移動と、より下位の社会的地位の階層への下降移動、双方を含む波状移動がある。


水平移動(horizontal social mobility)とは同一階層内での移動を指す。

世代内移動(intragenerational mobility)とは、ある個人の一生涯の中での社会的地位の移動を指し、世代間移動(intergenerational mobility)とは、ある家族の2世代以上にわたる社会的地位の変化を指す。

強制移動(compulsive mobility)とは、職業構造の変化や,経済的変動、人口動態など外的要因、言い換えれば社会的地位の分布の変動に基づく移動を指す。

純粋移動(pure mobility)とは、移動機会の多寡によって左右される移動を指す。社会成員にがそれぞれの社会的地位に基づく平等の機会の大きさを示す。

産業化の進んだ社会では純粋移動の増大傾向が共通に認められる。
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by ksnksociology | 2006-06-20 02:51


階級と階層

人々の社会内の序列や位置を表現する時、階級や階層という概念が用いられる。

階級(class)の概念は、マルクスによる生産手段の所有と非所有とそれに基づく生産関係における地位の相違に基づく支配/被支配の関係など敵対的な集群を指すものという定義が一般的である。この階級という概念は歴史的概念であり、階級間には断層が見られ、社会的不平等を指摘することに一つの特徴がある。そして、それぞれの階級に属する人には共通意識としての階級意識(class consciousness)がもたらされることになる。

一方、階層(social stratum)とは、職業、収入、学歴など個人に分配された指標に基づく社会的地位(social status)にもとに人為的、操作的に区分された人々の集群を指すものである。従って、連続的差異における社会的地位の差異であるといえる。その意味で、階層は階級と異なり非歴史的概念であり、操作的な分類概念である。

この階層が上下に積み重なった構造、すなわち社会的資源の配分状況に応じて複数の階層を段階的に配置した階層構造の総体を特に社会成層(social stratification)という。そして、全体の中でどの層に位置するかという主観的な所属階層に関する意識階層帰属意識(stratum consciousness)と呼ぶ。
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by ksnksociology | 2006-06-20 01:58 | 地位・役割・社会成層


地位と役割

特定場面で相互作用している行為者のそれぞれの立場を、空間上の座標にたとえて位置関係として示したもの地位(status)と呼ぶ。アメリカの文化人類学者リントン(1893~1953)は、地位を帰属的地位(ascribed status)獲得的地位(achieved status)に区分する。
帰属的地位とは、社会の中で継承される身分に基づいた地位であり、生誕と同時にもしくは一定年齢で個人に帰属させられる。性別、年齢、親子や兄弟姉妹などがこれにあたる。
一方、獲得的地位とは、個人の努力や競争によって自ら築き上げる地位であり、自らの努力によって得られた職務上の地位などがこれにあたる。占有するには何らかの才能・知識・技能を必要とする。近代社会における専門職・自由職(弁護士・医師・スポーツ選手など)の多くは、個人の意欲的な達成動機に基礎付けられた獲得的地位であるとみなすことができる。

そして、これら社会や集団から割り当てられた地位に付与され、他の行為者と相互作用するように期待され、義務付けられ、学習される行動様式役割(role)と呼ぶ。
役割はその地位に具体性を与え、地位に対応した動態的な機能面を把握する概念である。



役割を担った人に対して特定の行動を期待するのを役割期待(role expections)と呼ぶ。

特定の相互行為場面に適応していくために、自分の地位に相応しい行動様式を適確に学び取り、それを自身の所属性に合わせて実行に移す学習現象役割取得(role taking)と呼ぶ。それは、役割知覚(role perspection)と役割実現(role enactment)の中間的段階にあり、行為者が社会を自分の中に具体的に取り込み、さらに自分なりの実現の仕方を工夫するという、人間の自我形成と主体性の問題に関わっている。

役割の担い手が自己の内面で主体的に処理しがたいような、同時に持つ複数の役割間に生じた矛盾した期待による葛藤を役割葛藤(role conflict)と呼ぶ。たとえば、家庭と仕事の板ばさみにあっている既婚女性労働者、2つの異なる社会の狭間で苦しむマージナル・マンなどに生じる事態である。
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by ksnksociology | 2006-06-20 01:28 | 地位・役割・社会成層


ミード(自我発達論)

アメリカの社会学者G.H.ミード(1863~1931)は、精神や自我が社会的相互作用の中で形成されると考える。特に彼は、他者の役割を認知し、その役割を取得することによって社会的自我(social self)が形成されるという。

彼はその役割取得を説明するため、プレイからゲームへという段階的な説明概念を用いる。
まずプレイの段階では、特定の他者の役割取得が行なわれると考える。子どものごっこ遊びなど、子どもが自分ではない他者の役割をまねて遊ぶ中に、他者の役割の認知、理解をみていると指摘する。
続くゲームの段階では、集団全体の中での役割取得が行なわれると考える。集団内の共通目標との連関で自己の役割を位置づけるということがなされる。そしてこのようなプロセスを経て、やがて社会一般の期待や規範の内面化がなされることになる。これを特に一般化された他者の役割取得と呼んだ。

このように他者との相互作用を通じて役割を認知、受容して、社会的な自我を形成していくわけであるが、ミードはこれらを一方的受け入れるような人間を想定していない。
彼は自我をI(主我)とMe(客我)に区分する。組織化された他者や、社会全体の役割や態度を取得した自我をMeと呼び、その一方でMeに同調したり批判する自我をIと呼ぶ。このIとMeの相互作用(構成的、反省的、問題解決的な思考=内なる会話=精神)を通じて自我は発達するとミードは主張するのである。
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by ksnksociology | 2006-06-20 01:16 | 社会的自我の理論

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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