社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


社会移動

社会の成員が職業の変更、学歴資格の取得、婚姻などによって、社会階層上における社会社会的地位を移動すること社会移動(social mobility)と呼ぶ。社会移動の類型には、①垂直移動と水平移動、②世代内移動と世代間移動、③強制移動と純粋移動のおよそ3つを挙げることができる。

垂直移動(vertical social mobility)とは、社会的地位の上下を伴う移動を指す。より上位の社会的地位の階層への上昇移動と、より下位の社会的地位の階層への下降移動、双方を含む波状移動がある。


水平移動(horizontal social mobility)とは同一階層内での移動を指す。

世代内移動(intragenerational mobility)とは、ある個人の一生涯の中での社会的地位の移動を指し、世代間移動(intergenerational mobility)とは、ある家族の2世代以上にわたる社会的地位の変化を指す。

強制移動(compulsive mobility)とは、職業構造の変化や,経済的変動、人口動態など外的要因、言い換えれば社会的地位の分布の変動に基づく移動を指す。

純粋移動(pure mobility)とは、移動機会の多寡によって左右される移動を指す。社会成員にがそれぞれの社会的地位に基づく平等の機会の大きさを示す。

産業化の進んだ社会では純粋移動の増大傾向が共通に認められる。
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# by ksnksociology | 2006-06-20 02:51


階級と階層

人々の社会内の序列や位置を表現する時、階級や階層という概念が用いられる。

階級(class)の概念は、マルクスによる生産手段の所有と非所有とそれに基づく生産関係における地位の相違に基づく支配/被支配の関係など敵対的な集群を指すものという定義が一般的である。この階級という概念は歴史的概念であり、階級間には断層が見られ、社会的不平等を指摘することに一つの特徴がある。そして、それぞれの階級に属する人には共通意識としての階級意識(class consciousness)がもたらされることになる。

一方、階層(social stratum)とは、職業、収入、学歴など個人に分配された指標に基づく社会的地位(social status)にもとに人為的、操作的に区分された人々の集群を指すものである。従って、連続的差異における社会的地位の差異であるといえる。その意味で、階層は階級と異なり非歴史的概念であり、操作的な分類概念である。

この階層が上下に積み重なった構造、すなわち社会的資源の配分状況に応じて複数の階層を段階的に配置した階層構造の総体を特に社会成層(social stratification)という。そして、全体の中でどの層に位置するかという主観的な所属階層に関する意識階層帰属意識(stratum consciousness)と呼ぶ。
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# by ksnksociology | 2006-06-20 01:58 | 地位・役割・社会成層


地位と役割

特定場面で相互作用している行為者のそれぞれの立場を、空間上の座標にたとえて位置関係として示したもの地位(status)と呼ぶ。アメリカの文化人類学者リントン(1893~1953)は、地位を帰属的地位(ascribed status)獲得的地位(achieved status)に区分する。
帰属的地位とは、社会の中で継承される身分に基づいた地位であり、生誕と同時にもしくは一定年齢で個人に帰属させられる。性別、年齢、親子や兄弟姉妹などがこれにあたる。
一方、獲得的地位とは、個人の努力や競争によって自ら築き上げる地位であり、自らの努力によって得られた職務上の地位などがこれにあたる。占有するには何らかの才能・知識・技能を必要とする。近代社会における専門職・自由職(弁護士・医師・スポーツ選手など)の多くは、個人の意欲的な達成動機に基礎付けられた獲得的地位であるとみなすことができる。

そして、これら社会や集団から割り当てられた地位に付与され、他の行為者と相互作用するように期待され、義務付けられ、学習される行動様式役割(role)と呼ぶ。
役割はその地位に具体性を与え、地位に対応した動態的な機能面を把握する概念である。



役割を担った人に対して特定の行動を期待するのを役割期待(role expections)と呼ぶ。

特定の相互行為場面に適応していくために、自分の地位に相応しい行動様式を適確に学び取り、それを自身の所属性に合わせて実行に移す学習現象役割取得(role taking)と呼ぶ。それは、役割知覚(role perspection)と役割実現(role enactment)の中間的段階にあり、行為者が社会を自分の中に具体的に取り込み、さらに自分なりの実現の仕方を工夫するという、人間の自我形成と主体性の問題に関わっている。

役割の担い手が自己の内面で主体的に処理しがたいような、同時に持つ複数の役割間に生じた矛盾した期待による葛藤を役割葛藤(role conflict)と呼ぶ。たとえば、家庭と仕事の板ばさみにあっている既婚女性労働者、2つの異なる社会の狭間で苦しむマージナル・マンなどに生じる事態である。
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# by ksnksociology | 2006-06-20 01:28 | 地位・役割・社会成層


ミード(自我発達論)

アメリカの社会学者G.H.ミード(1863~1931)は、精神や自我が社会的相互作用の中で形成されると考える。特に彼は、他者の役割を認知し、その役割を取得することによって社会的自我(social self)が形成されるという。

彼はその役割取得を説明するため、プレイからゲームへという段階的な説明概念を用いる。
まずプレイの段階では、特定の他者の役割取得が行なわれると考える。子どものごっこ遊びなど、子どもが自分ではない他者の役割をまねて遊ぶ中に、他者の役割の認知、理解をみていると指摘する。
続くゲームの段階では、集団全体の中での役割取得が行なわれると考える。集団内の共通目標との連関で自己の役割を位置づけるということがなされる。そしてこのようなプロセスを経て、やがて社会一般の期待や規範の内面化がなされることになる。これを特に一般化された他者の役割取得と呼んだ。

このように他者との相互作用を通じて役割を認知、受容して、社会的な自我を形成していくわけであるが、ミードはこれらを一方的受け入れるような人間を想定していない。
彼は自我をI(主我)とMe(客我)に区分する。組織化された他者や、社会全体の役割や態度を取得した自我をMeと呼び、その一方でMeに同調したり批判する自我をIと呼ぶ。このIとMeの相互作用(構成的、反省的、問題解決的な思考=内なる会話=精神)を通じて自我は発達するとミードは主張するのである。
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# by ksnksociology | 2006-06-20 01:16 | 社会的自我の理論


クーリー(鏡に映った自我)

アメリカの社会学者、クーリー(1864~1929)は、人間が他者の反応に対する自我の反応として形成される社会的自我(social self)を有するという。このことを説明するために、彼は鏡に映った自我という概念を提示する。これは、人が他者がどのように自己を評価しているかを他者との相互作用によって、すなわち他者との相互作用を通じて知ることになると指摘する。

彼は他者を自己を映し出している鏡と捉え、この他者との相互作用とそこに映し出された反応としての他者の振る舞いを考慮することによって形成される自我社会的自我と呼ぶ。

そして、彼は社会的自我が形成される場である家族、仲間集団、近隣集団などの基本的社会集団第一次集団(primary group)と呼ぶ。この第一次集団は成員間の親密で対面的な結びつきによって成立しており、連帯感と一体感を持ち、幼児期の道徳的意識が形成される社会的基盤であり、その結果として社会秩序の形成に貢献していると指摘する。
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# by ksnksociology | 2006-06-20 00:40 | 社会的自我の理論


社会的人間と社会化

人間はの集団や社会の価値や文化の影響を受けながら一定の行動様式を身につけ実践している。このことはパーソナリティの形成に深く関与している。その意味で人間は社会によって作られるという側面を持っている。

しかしその反面、能動的な自我をもった一個の主体としての人間という側面もあり、このことは人間が社会をつくる動物であるという事態をもたらすことになる。

社会によって形成されながら、その一方で社会に能動的に働きかけ社会を再形成する存在としての社会的人間がそこにあるといえる。

こうした見方からの人間の定義には、知恵ある人を意味するホモ・サピエンス、道具を作る人を意味するホモ・ファーベル、そして、古典派、新古典派経済学における定義である経済人を意味するホモ・エコノミクス、社会的役割に焦点を当てた社会学的人間を意味するホモ・ソシオロジクス、さらには、人間の遊戯に焦点を当てたホイジンハによる、遊戯する人を意味するホモ・ルーデンスなど様々な見方がある。

人間は、所属する社会固有の価値や行動様式を身につけて初めてその社会の成員となる。
所属する集団や社会の規範、価値、主観的な行動様式を学習し、内面化する過程を特に社会化(socialization)と呼ぶ。すなわち、他者との相互作用を通じて、生活習慣の確立、動機的学習、文化的価値形式の受容などがなされることを意味する。それは、発達過程に所属する集団によって大きな影響を受けることになるが、その発達は幼児期に限られるのではなく、成人しても行なわれる。幼児期においては、親や家族との同一化が中心であるが、発達に伴いその内容は拡大し複雑化する。いずれにせよ人間として社会に生きるための基本的学習過程がこの社会化なのである。
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# by ksnksociology | 2006-06-19 19:15 | 社会的自我の形成


パーソナリティ・自我・アイデンテティ

ある人物の特徴的な行動パターン、態度、信念、価値などの、比較的組織化され一貫性を持った統合体パーソナリティと呼ぶ。それは一定の持続性を持っており、その人物の行動の傾性の編成であるといえる。

その一方で人間は、刺激や影響をもたらすような環境や相互作用の中におかれ、それに反応する主体的・能動的側面を持っている。特に、主体が自己の特異性や固有性を意識している主観的な領域自我と呼ぶ。自我は自分自身である証であり、一個の人間としての存在を示すものであるといえる。

そして、この自分は何者であるのかについて、持続的な同一性を持っているような感情アイデンテティと呼ぶ。これらは、自律性を持った人間の特性を示したものであり、人間理解のための基礎概念であるといえる。
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# by ksnksociology | 2006-06-18 08:19 | 社会的自我の形成


シュッツ(現象学的社会学)

シュッツ(1899~1957)は、フッサールの現象学を社会学の中に応用することによって、独自の現象学的社会学(phenomenogical sociology)を展開した。社会を人々の構成した意味的世界として捉え、その主観的意味付与と、既に構成されている世界と関わりという観う点から社会現象を理解しようというアプローチ。ウェーバーの理解社会学を厳密化し、現象学に用いることで社会を再検討し、間主観的な視点から考察した。すなわちそれは、他者の行為をいかに理解できるかという問題を、行為に対する我々の意味付与活動から説明し、さらに「生活世界」としての常識的知識や日常的世界に注目することで知識社会学的な究明を行なった。

シュッツは、我々は意味的に構成された世界である間主観的な生活世界(life world)に生きていると指摘する。このような立場から彼は、日常経験のあり方を考察し、生活世界はいかに構成されるかを根源的に問うた。つまりそれは、経験の起点「わたしのいまここ」を主題化するには、「いまここ」を超越する様相を主題化しなければならないということである。


そして、彼は意味的に構成された世界には、多様な解釈が可能な重層的現実が存在すると指摘する。つまり、社会的現実が複数の意味領域からなっていることを示している。このような現実の特徴を彼は多元的現実(multiple realities)と呼んだ。それはつまり、現実とは自己体験の志向的意味措定と解釈に他ならない。

このシュッツの探求は、バーガー、ルックマンらに受け継がれ、社会学における「解釈的パラダイム」や「意味学派」として一括される新しい潮流として注目されている。
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# by ksnksociology | 2006-06-18 07:52 | その他の理論


ダーレンドルフ(ホモ・ソシオロジクス)

ダーレンドルフ(1929~)は、社会学が捉える人間像として、経済的合理性を追求する人間像であるホモ・エコノミクスを念頭に置き、社会的役割を忠実に遂行する人間像としてホモ・ソシオロジクスという概念を提示する。

これは個人と社会の接点に存在する「社会的役割」に注目した1つの理念型であり、人間の社会的行動を合理的に分析、説明するための比較物なのである。
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# by ksnksociology | 2006-06-18 07:40 | その他の理論


マンハイム(知識社会学)

マンハイム(1893~1947)は、歴史主義的な立場からイデオロギー論を批判的に検討し、認識の存在性と歴史性に着目した独自の知識社会学(sociology of knowledge)の構築を試みた。

彼は、マルクスの議論に見られる党派的なイデオロギー論を克服し、全体的イデオロギーの概念の普遍的な把握を求めた。それは、マルクスのイデオロギー論がブルジョアジーのみに向けられたものであったのに対して、マンハイムは、自身の立場も含め社会に存在する様々な思想にもイデオロギー性を認め、これらを相対化しようというものであった。

彼はイデオロギー概念を、思想や観念の一部をその言明内容に関してだけ陳述する人間の心理(意図・動機・利害・下意識)に拘束された部分的イデオロギー(particular ideology)と、思想や観念の内容だけでなく、その根底にある世界観の全体を、認識の基本的範疇まで含めて、担い手集団が占めている社会的存在状況と関連付けて相対化する全体的イデオロギー(total ideology)、また、敵対者の思想や観念をイデオロギーとして捉え、相手の立場の歴史的・社会的相対性や虚偽性を暴露するが、自分自身の思想や概念はイデオロギーとして考察しようとしない特殊イデオロギー(special ideology)と、イデオロギー的見方を敵対者ばかりでなく自分自身にも適用する勇気を持ち、一切の思想や観念をそれぞれの担い手の社会的存在位置と関連付けてイデオロギーとして捉える普遍的イデオロギー(universal ideology)概念に区別し、マルクス主義は特殊イデオロギーの域を出ていないと批判した。

彼は、知識やイデオロギーは内的論理のみで自己展開するのではなく、社会文化的な外的条件によって規定されていると指摘し、あらゆる知識や思考は歴史的性格を持つという歴史主義に基づいた<相関主義>のもとに知識社会学を展開した。

そして、あらゆる知識や思考というものは、認識者の視座ないし、その視座のおかれている社会的存在や位置に制約を受けていると指摘した。彼はこのような事態を<知識の存在被拘束性>と呼んだ。


また、彼は、文化社会学者A.ウェーバーの<自由に浮動するインテリゲンチャ(free-floating intelctuals)>という概念を積極的に援用した。社会がブルジョアジーとプロレタリアートに2極化する際の過渡期に、どちらにも属さない浮動層としての知識人層を指摘した。そして、特定の階層に拘束されないで自由に双方へ行き来ができ、両者を調停する人々=知識人階層こそが、社会状況の中で相関的ではあるが真理を見出せる存在であると指摘したのである。
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# by ksnksociology | 2006-05-04 04:19 | その他の理論

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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