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社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


ブルデューの文化的再生産論

ブルデューは、社会における階級的格差がいかに形成され、その構造が、いかに社会において正当化されるかという事に注目する。特に彼は教育という観点に注目し分析を行った。

彼は、フランスにおいて、平等な教育機会が保障されているにも関わらず、大学以上の高等教育機関への進学者において、中産階級の子供たちと労働者階級の子供たちとの間に明らかな階級間格差が生じている現実を指摘する。

そして彼はこの原因を文化資本の格差にあると指摘する。その例として文化資本の1つである言語資本を挙げる。家族によって用いられる言語資本は家族のおかれた階級的地位によって異なっており、中産階級の言語は抽象的、形式主義、婉曲語法を特徴としているのに対して、労働者階級の言語は個別特殊的、具体直接的な特徴を持っているという。

ところが、学校文化の中では中産階級の言語体系が一般的なものとして受け入れられている現実がある。そのような言語体系での教育は、労働者階級の子供たちに戸惑いを与え、さらには理解力にまで影響を招いていると指摘する。

そして、外見的には中立的で民主的な学校という枠組みではあるが、実際は中産階級優位の環境での選別が起こり、しかもそれが社会的に正当化されていると指摘した。言語や文化を身につけるのはきわめて後天的なことであるが、社会の中において、それらは特定の階級内で繰り返し再生産され、その結果として、不平等な階級格差も再生産されていると指摘するのである。
# by ksnksociology | 2006-06-22 07:10 | 学校教育と文化的再生産


ベネディクトの文化論

ベネディクト(1887~1948)は、各文化には各個人のパーソナリティと同様に首尾一貫した思考行動の型を持っていると主張する。彼女は、人類の諸文化は少なからず異なった様式、価値秩序を持っており、その多様性を内面から理解することが必要であると考える。

彼女は、アメリカ南西部のブエブロ族とその周囲にいる平原インディアンの文化の対照的差異に注目する。ブエブロ族の文化は威厳と温和を理想とし感情の抑圧や緩和などをその特徴としていた。一方、周囲にいる平原インディアンの文化は、勝利と恥辱を両極端とする感情の中に生きてきた。彼女は前者をアポロ型文化と呼び、後者をデュオニソス型文化と呼んだ。

また、彼女は『菊と刀』において罪を基調とする道徳の絶対的標準を説く西洋のキリスト教文化を罪の文化と呼び、恥が強制力である日本の文化を恥の文化と呼んだ。彼女は様式主義の立場に立ち、さらに精神分析学的考察を取り入れこの特徴を指摘した。

そこでは文化のうちに制度化されている動機、感情、価値を1つの型として取り出すことが試みられた。人々のエートスに注目して文化を考察したといえよう。
# by ksnksociology | 2006-06-22 05:06 | 文化論


ハースコヴィッツの文化論

ハースコヴィッツ(1895~1963)は、文化の伝播(cultural diffusion)を研究する中で、伝播とともに文化要素は変化を伴い、単純に文化の型が伝播されないという点に注目し、文化変動の問題を展開する。

文化変動(cultural change)はその速度や規模に関して未開社会と文明社会では大きく異なる。孤立した未開社会においてその変動はきわめて緩やかに起こっている。表面上目立たない微小で緩慢な変化が蓄積されると、一定の方向性を持った緩やかな文化変動を引き起こす場合がある。彼はこの様子を文化的漂流(culutural drift)と呼ぶ。

彼は文化の変動には、発明、発見、技術革新、人口変動などに見られる社会の内部から起こる<内的要因>と、文化の伝播、異文化との接触に基づく<外的要因>があると指摘する。
一般に、この外的要因に基づく文化の変化、特に従属的な位置にある社会の文化が支配的な社会の文化に従うように急激に変更されるような2つの社会の間の相互作用の過程を<文化変容(acculturation)>と呼ぶ。
また、文化を受容した側が部分的な要素の導入にとどまらずその文化全体を再統合し、影響を与えた文化と全く相似の文化になる現象がある。これを文化同化(culutural assimilation)>と呼ぶ。
# by ksnksociology | 2006-06-22 04:23 | 文化論


リントンの文化論

リントンは、文化とパーソナリティの関係に注目し、ある文化を共有する人に見られる基本的パーソナリティと性別、年齢別、階級別に異なる地位のパーソナリティを区別する。

また彼は、文化というものが研究者によって抽象化された構成概念という側面をもつと捉え、現実文化型構成文化型の2つの操作概念を提示する。
現実文化型とは、成員によって学習され分有された行動様式の総体を指す。
一方、ある社会の特徴を捉えようとする時、そこでは現実文化型からの抽象化が行なわれる。彼は現実文化に見られる最頻値を抽出することによって、その特徴づけを行なう。そしてその最頻値から導き出された文化の型を彼は構成文化型と呼んだ。その意味で構成文化型とは文化現実文化型の代表値であるといえる。
# by ksnksociology | 2006-06-20 06:19 | 文化論


文化の概念と定義

文化とは人間が後天的に獲得し、発達させるものであり、集団的、社会的環境にその多くを負っている。そして、文化は学習を通じて獲得され伝承されるところにも特徴がある。その構造は複合的であり、かつ、そこで一定のパターンが見られるものである。文化は人間の集団生活に密接に関係しており、そこには潜在的にしろ顕在的にしろ、集団性、社交性が反映されたものなのである。

文化に関する定義としては主に4つある。

文化を複合的全体と考えるE.Bタイラーは「広い民族誌的意味において理解すれば、知識、進行、芸術、法、習慣及び、人間が社会の成員として身につけたその他の才能、習性から成り立つ複合的全体」と定義し、また文化を分有、伝達されるものと考えるリントンは「習得された行動と行動の諸結果との総体であり、その構成要素は成員によって分有され伝達されるもの」と定義する。

また、生活様式に注目したハースコヴィッツは「文化は一団の人々の生活様式であり、一方、社会とはある生活様式に従う諸個人の組織化された集合体である。社会は人々の組成であり、彼らの振舞い方が文化である」というものや、価値に注目したクローバーとクラクホーンによる「文化とは行動に関する、また行動のための明示的もしくは暗黙裏に存在するパターンからなる。それはシンボルによって習得伝達されるものであり、文物としての具体的表現を含みつつ人間集団に特有の業績を作り上げる。文化の中核は伝承された観念及びそれに付与された価値である」という定義がある。
# by ksnksociology | 2006-06-20 05:25 | 文化論

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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