社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


マートン③(アノミー論と準拠集団論)

彼は社会構造の動態的分析に関心を持ち、アノミーと準拠集団について分析した。

彼のアノミー論は、社会構造と文化構造との区別に端緒を持っている。人々が望む「文化的目標」と、その目標を達成するための「制度的手段」との選択から、「同調」「革新」「儀礼主義」「逃避主義」「反抗」という個人の適応様式5つをあげ、「同調」以外はアノミー的傾向を持つとした。

また、準拠集団とは、集団内の価値や意味づけが自己の評価や態度形成の規準となる、ーすなわち<準拠枠>となるような社会集団のことである。

彼は、準拠集団には行動決定の際の<規範的機能>と、評価基準となる<比較機能>があると指摘した。そして、人々が依拠する準拠集団はその人にとって所属している集団である場合もあるが、、所属していないにしてもその集団を理想としてそれに準拠する事もあると述べた。さらに、人は複数の準拠集団を持ちうるが、それは個人の内部で葛藤を起こす場合もあることを指摘した。

このようにして彼は、社会と人々との関係や作用、すなわち機能という観点から徹底して社会というものを観察したのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-13 08:55 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


マートン②(機能概念の整備)

彼は、自らの基本的視座に<機能概念>を据え、社会構造とアノミー、準拠集団論、マス・コミュニケーション論、科学社会学などについて社会理論の構築に取り組んだ。彼は機能主義的理解について「社会学的解釈の諸問題を取り扱う現代の研究方法の中で最も有望である反面。恐らく最も系統だてて整理されていないもの」と指摘する。

彼は機能を考える際、当事者による主観的側面でなく、第三者によって観察された客観的側面に焦点を当てる。そして機能概念を「一定のシステムの調整や適応に貢献する客観的結果」と定義した。
そして新たに、順機能逆機能という対概念を設定した。<順機能>とは一定のシステムに積極的な貢献をなすものを指し、<逆機能>とは負の貢献をなすものを指す。この概念の導入によって、均衡や不均衡、静態と動態とを統合しうる機能分析が可能になった。特に<逆機能>概念の導入は、社会構造内のひずみや矛盾、緊張や葛藤の測定を可能にした。

これに加え彼は、行為などの客観的結果と主観的意向とが一致する場合を<顕在機能>、一致しない場合を<潜在機能>と区分した。これにより、一見非合理的な社会現象について、潜在的な機能を見出すという視点から、背後にある問題まで深く分析することが可能になり、潜在機能を含むより広範な研究領域の拡張がなされることになった。
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# by ksnksociology | 2006-04-13 08:25 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


マートン①(中範囲の理論)

マートン(1910~)は、パーソンズと並び社会学的機能主義を代表する学者の1人である。彼は従来の機能概念の洗練化を行い、現代社会の構造分析を試みる。
しかし彼は社会構造や機能に注目するという点ではパーソンズと同じ方向性を持ってはいたが、一般理論の構築には批判的である。彼は現段階においては、小規模の作業仮説に基づく実証的研究と一般理論とのギャップを埋め、統合、仲介するような「中範囲の理論」の整備拡充を強調した。

「中範囲の理論」は、単純経験の一般化ではなく、一般理論の特殊な仮説でもない。特定の事象に限定されてはいるものの、<理論>と<調査>との相互作用を通じ、確実に経験科学的な根拠をもつ理論である。彼は、全体包括的な一般理論は現段階では時期尚早として、特定の限られた範囲に適応できる特殊理論を開発することが先決だと主張した。そしてそれを前提に、中範囲の理論はやがて一般理論へと統合されていくべきだと考えた。つまり「中範囲の理論」は、一般理論構築のための基礎的作業なのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-13 08:05 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


パーソンズ②(AGIL図式と社会システム理論)

パーソンズは自身の理論と社会心理学者べイルズの小集団論の成果を援用し社会システム理論をさらに発展させた。それは社会システムの存続・維持とそれを担う機能について注目した理論である。

彼は社会システムの存続・維持の機能要件として次の4つを取り上げた。
適応daptation)、②目標達成oal attainment)、③統合Integratiton)、④潜在的パターンの維持及び緊張処理(atent pattern maintainance and tension)である。これら4つの機能の頭文字をとってAGIL図式と呼ばれた。これは、社会システムはその目的を達成するため、まず<外的状況に適応し目標達成の条件を整え(A)>、状況の諸要素を統制することによって<目的達成(G)>し、システムの構成単位間の相互調整を行い<統合(I)>、構成単位のパターンの維持に努める(L)というものである。
これら4機能の充足は同時になされるものではなく、A→G→I→Lという一連の運動としての位相運動であり、上位システムの下位システムに対する分担機能を意味しているともとれる。
そして、全体社会を上位体系としてAGILを適応すると、経済体系(A)、政治体系(G)、統合体系(I)、文化的、動機付け的体系(L)となると指摘する。

さらに彼は、一般化されたシンボリックメディアという概念を導入し、AGIL図式を発展させた。それはAGILに展開される全体社会の下位システム間の相互交換を想定したシステムの機能問題へのアプローチである。
彼は、全体社会の各下位システムは他のシステムから投入された資源をもとに自らが課せられた機能要件を充足し、他のシステムにとって重要な資源を産出すると考える。そして、下位部門間の資源の投入ー産出関係に着目し、その均衡を考察した。

例えば、経済体系において、経済的交換が円滑に行われ経済システムが容易に均衡に達することができるのは、<貨幣>という制御メディアがあるからだと彼は考える。そして、下位システム間の交換が全体システムを無秩序に陥らせないためには貨幣に類似したメディアが必要だとした、これが<一般化されたシンボリックメディア>であり、経済体系には<貨幣>、政治体系には<権力>、統合体系には<影響力>、文化及び動機付けの体系には<価値コミットメント>が挙げられている。

このように彼は、複数の人々の間に形成される社会システムというものから、<社会>というものを分析しようとしたのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-12 05:57 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


パーソンズ①(構造=機能分析と社会システム)

パーソンズ(1902~1979)は20世紀を代表する社会学者である。彼は社会に関する一般理論の構築に力を注いだ。彼は、初期の主意主義的行為論、中期のパターン変数、自らが考案したAGIL図式に準拠した社会システム理論、後期のAGIL図式の拡張、社会進化論、人間の条件論へと至る。彼の理論的立場は構造=機能主義と呼ばれ、20世紀の社会学研究に大きな影響を及ぼした。

彼は、行為の一般理論を拠り所にすることによって、社会に関する一般理論を創り上げようとした。その際、彼は行為を行為システムと捉え、これを個人的行為の体系であるパーソナリティ・システム、複数の行為者の相互行為の体系である社会システム、行為者の行為を方向付ける文化システムの3つの下位システムから構成されると考える。そして、晩年にはこれに行為を担う生物体の体系としての行動有機体を加えた。彼は、システムそれぞれに注意を払いながら、社会分析の中心として社会システムに着目するのである。

彼は複数の行為者の相互行為の体系である社会システムから、独自の社会理論を発展させた。彼の理論体系はその分析視座から構造=機能主義と呼ばれる。
彼は、社会システムの構成要素のうち比較的安定して変化しにくい要素を定数として確定し、それを「構造」と呼び、その確定作業を構造分析と呼んだ。
その一方で、構造の維持に関する可変的要素の作用を「機能」と呼び、定数である構造と変数である機能とを関係付ける作業を機能分析と呼んだのである。
そして、相互行為の体系である「社会システム」において彼は、「役割の体系」に注目した。それを前提に、役割相互の関係は安定しかつ体系化されていなければならないと考え、体系化された役割の複合体を「制度」と定義した。最終的には、社会システムの構造の分析は制度の分析へと収斂していくと彼は考えたのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-12 05:22 | 20世紀の理論(構造=機能学派)


ジンメル(形式社会学)

ジンメル(1858~1918)は、ウェーバーとともに初期ドイツ社会学を代表する社会学者、哲学者である。彼は、コントやスペンサーの考える綜合社会学に対して<特殊科学としての社会学>を主張した。そして社会実在論、社会唯名論双方を批判し、存在するのは諸個人の相互作用だけであると考えた。彼は社会学固有の研究対象として、人々の心的相互作用に着目し、人間相互の関係形式に関する科学としての社会学を構想し、独自の形式社会学を展開した。

彼は、諸個人の間に存在する相互作用が社会を構成すると考えた。特に社会を構成する相互作用を心的相互作用と呼んだ。

彼は、現実の社会は<内容>と<形式>に区分されるという。<内容>とは、国家、企業、学校などの社会集団に人々が集う目的や理由である。これら<内容>はそれぞれ異なった目的や理由をもつ集まりであるが、そこには共通した諸個人相互間の行動様式として、共同、分業、互助、交換、上下関係、競争、支配、模倣などの関係を見出せるとし、このような人間相互の関係を<形式>もしくは社会化の形式と呼んだ。

そして彼は<形式>こそが社会の本質であると考え、社会学は社会化諸形式の学であるべきだと主張し、自らの社会学を形式社会学と呼んだのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-10 18:44 | 古典的理論


ウェーバー④(プロ倫)

ウェーバーは論文『において資本主義の発展とそこに見られた社会的行為を分析した。彼は、価値や規範に方向付けられた動機付けであり、人間を内面から特定価値の実践に向けて動かすような力エートスと呼び、このエートスに着目して資本主義の発展を分析した。
そして彼は、プロテスタンティズムの倫理の中に資本主義を発展させる契機があったことを指摘し、プロティスタンティズムの持っている世俗内禁欲のエートスが、市民的資本主義形成の原動力になったと分析しているのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-10 17:20 | 古典的理論


ウェーバー③(社会的行為と支配の諸類型)

ウェーバーの提示した理念型のうち、ここでは2つの代表例を紹介する。

《社会的行為の諸類型》
ウェーバーは自らの社会学の中心概念である社会的行為行為者の主観的意味に従って他者の動作に関係し、そのプロセスにおいて他者の動作に方向付けられている行為と定義した。主観的意味とはすなわち「動機」を指している。この動機に基づき、彼は社会的行為を目的合理的行為(=目的達成のために外界の動きや他者の行動を予想するような行為)、価値合理的行為(=特定の価値に従うような行為)、感情的行為(=情緒的感情によって引き起こされるような行為)、伝統的行為(=所属する社会の伝統に従うような行為)の4つに類型化した。前者の目的・価値合理的行為は<合理的行為>に、後者の感情・伝統的行為は<非合理的行為>に区分される。

《支配の諸類型》
彼は社会的行為の意味理解の1つとして、国家、教会、企業、政党など、社会に存在する諸集団に対して、支配という観点から権力と服従について分析した。特に「人はなぜ服従するのか?」ということに焦点を当て、支配というものを3つに類型化した。
それは伝統的支配(=伝統的秩序からもたらされた権威への服従)、カリスマ的支配(=カリスマ性を持った指導者への服従)、合法的支配(=制定規制に対する服従)の3つである。そして、ここでも合理性という観点に着目し、近代的な合理的支配形態として官僚制を取り上げ分析を試みたのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-10 16:54 | 古典的理論


ウェーバー②(理念型と価値自由)

ウェーバーは、経験的な現実を比較測定する手段として理念型という枠組みを提起した。これは、現実の模範型でも、平均概念でもなく、あくまでも比較のための道具でであり、現実を相対化するための一つの尺度の役割をもつものである。
彼は近代社会を「価値の多神教の時代」と呼び、さまざまな価値が社会の中に存在し人々に影響を与えていると考えている。このような社会の中で彼は、社会科学とはあるべき理想ではなく現実にある事実を探求するものであるとし、社会政策と社会科学を区別し、社会科学的認識は価値判断から自由であるべきだとする価値自由を主張した。
この考え方は、主観的な価値理念の排除を求めるものではない。むしろあらゆる認識は主観的であり限定的であるからこそ、認識を支えている価値理念を曖昧にせず、自覚的に関係づけるべきだと主張した。この<価値自由>という自覚された価値認識のもと、<理念型>は基礎付けられるのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-10 15:55 | 古典的理論


ウェーバー①(理解社会学とは)

ドイツの社会学者、マックス・ウェーバー(1864~1920)は、デュルケムと同じく、社会学の確立に貢献した人物である。彼の関心は西欧の近代資本主義の基盤と考えられる、西欧合理主義に潜む社会現象の解明に向けられていた。

彼は特に社会的行為という視座から社会を分析した。彼は社会学を「社会的行為を解釈し理解することによって、その社会的行為のプロセス及び結果を因果的に説明する科学」と定義した。このように、社会的行為の意味や理解に焦点を当てたところから、彼の社会学は理解社会学と呼ばれる。それは社会現象を、関与する個々の人間の行為へと分解し、行為の動機へを手がかりに社会現象を因果的に説明しようとしており、社会現象を意味現象と重ね合わせながら分析しようとしたのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-10 15:33 | 古典的理論

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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