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社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


社会的人間と社会化

人間はの集団や社会の価値や文化の影響を受けながら一定の行動様式を身につけ実践している。このことはパーソナリティの形成に深く関与している。その意味で人間は社会によって作られるという側面を持っている。

しかしその反面、能動的な自我をもった一個の主体としての人間という側面もあり、このことは人間が社会をつくる動物であるという事態をもたらすことになる。

社会によって形成されながら、その一方で社会に能動的に働きかけ社会を再形成する存在としての社会的人間がそこにあるといえる。

こうした見方からの人間の定義には、知恵ある人を意味するホモ・サピエンス、道具を作る人を意味するホモ・ファーベル、そして、古典派、新古典派経済学における定義である経済人を意味するホモ・エコノミクス、社会的役割に焦点を当てた社会学的人間を意味するホモ・ソシオロジクス、さらには、人間の遊戯に焦点を当てたホイジンハによる、遊戯する人を意味するホモ・ルーデンスなど様々な見方がある。

人間は、所属する社会固有の価値や行動様式を身につけて初めてその社会の成員となる。
所属する集団や社会の規範、価値、主観的な行動様式を学習し、内面化する過程を特に社会化(socialization)と呼ぶ。すなわち、他者との相互作用を通じて、生活習慣の確立、動機的学習、文化的価値形式の受容などがなされることを意味する。それは、発達過程に所属する集団によって大きな影響を受けることになるが、その発達は幼児期に限られるのではなく、成人しても行なわれる。幼児期においては、親や家族との同一化が中心であるが、発達に伴いその内容は拡大し複雑化する。いずれにせよ人間として社会に生きるための基本的学習過程がこの社会化なのである。
# by ksnksociology | 2006-06-19 19:15 | 社会的自我の形成


パーソナリティ・自我・アイデンテティ

ある人物の特徴的な行動パターン、態度、信念、価値などの、比較的組織化され一貫性を持った統合体パーソナリティと呼ぶ。それは一定の持続性を持っており、その人物の行動の傾性の編成であるといえる。

その一方で人間は、刺激や影響をもたらすような環境や相互作用の中におかれ、それに反応する主体的・能動的側面を持っている。特に、主体が自己の特異性や固有性を意識している主観的な領域自我と呼ぶ。自我は自分自身である証であり、一個の人間としての存在を示すものであるといえる。

そして、この自分は何者であるのかについて、持続的な同一性を持っているような感情アイデンテティと呼ぶ。これらは、自律性を持った人間の特性を示したものであり、人間理解のための基礎概念であるといえる。
# by ksnksociology | 2006-06-18 08:19 | 社会的自我の形成


シュッツ(現象学的社会学)

シュッツ(1899~1957)は、フッサールの現象学を社会学の中に応用することによって、独自の現象学的社会学(phenomenogical sociology)を展開した。社会を人々の構成した意味的世界として捉え、その主観的意味付与と、既に構成されている世界と関わりという観う点から社会現象を理解しようというアプローチ。ウェーバーの理解社会学を厳密化し、現象学に用いることで社会を再検討し、間主観的な視点から考察した。すなわちそれは、他者の行為をいかに理解できるかという問題を、行為に対する我々の意味付与活動から説明し、さらに「生活世界」としての常識的知識や日常的世界に注目することで知識社会学的な究明を行なった。

シュッツは、我々は意味的に構成された世界である間主観的な生活世界(life world)に生きていると指摘する。このような立場から彼は、日常経験のあり方を考察し、生活世界はいかに構成されるかを根源的に問うた。つまりそれは、経験の起点「わたしのいまここ」を主題化するには、「いまここ」を超越する様相を主題化しなければならないということである。


そして、彼は意味的に構成された世界には、多様な解釈が可能な重層的現実が存在すると指摘する。つまり、社会的現実が複数の意味領域からなっていることを示している。このような現実の特徴を彼は多元的現実(multiple realities)と呼んだ。それはつまり、現実とは自己体験の志向的意味措定と解釈に他ならない。

このシュッツの探求は、バーガー、ルックマンらに受け継がれ、社会学における「解釈的パラダイム」や「意味学派」として一括される新しい潮流として注目されている。
# by ksnksociology | 2006-06-18 07:52 | その他の理論


ダーレンドルフ(ホモ・ソシオロジクス)

ダーレンドルフ(1929~)は、社会学が捉える人間像として、経済的合理性を追求する人間像であるホモ・エコノミクスを念頭に置き、社会的役割を忠実に遂行する人間像としてホモ・ソシオロジクスという概念を提示する。

これは個人と社会の接点に存在する「社会的役割」に注目した1つの理念型であり、人間の社会的行動を合理的に分析、説明するための比較物なのである。
# by ksnksociology | 2006-06-18 07:40 | その他の理論


マンハイム(知識社会学)

マンハイム(1893~1947)は、歴史主義的な立場からイデオロギー論を批判的に検討し、認識の存在性と歴史性に着目した独自の知識社会学(sociology of knowledge)の構築を試みた。

彼は、マルクスの議論に見られる党派的なイデオロギー論を克服し、全体的イデオロギーの概念の普遍的な把握を求めた。それは、マルクスのイデオロギー論がブルジョアジーのみに向けられたものであったのに対して、マンハイムは、自身の立場も含め社会に存在する様々な思想にもイデオロギー性を認め、これらを相対化しようというものであった。

彼はイデオロギー概念を、思想や観念の一部をその言明内容に関してだけ陳述する人間の心理(意図・動機・利害・下意識)に拘束された部分的イデオロギー(particular ideology)と、思想や観念の内容だけでなく、その根底にある世界観の全体を、認識の基本的範疇まで含めて、担い手集団が占めている社会的存在状況と関連付けて相対化する全体的イデオロギー(total ideology)、また、敵対者の思想や観念をイデオロギーとして捉え、相手の立場の歴史的・社会的相対性や虚偽性を暴露するが、自分自身の思想や概念はイデオロギーとして考察しようとしない特殊イデオロギー(special ideology)と、イデオロギー的見方を敵対者ばかりでなく自分自身にも適用する勇気を持ち、一切の思想や観念をそれぞれの担い手の社会的存在位置と関連付けてイデオロギーとして捉える普遍的イデオロギー(universal ideology)概念に区別し、マルクス主義は特殊イデオロギーの域を出ていないと批判した。

彼は、知識やイデオロギーは内的論理のみで自己展開するのではなく、社会文化的な外的条件によって規定されていると指摘し、あらゆる知識や思考は歴史的性格を持つという歴史主義に基づいた<相関主義>のもとに知識社会学を展開した。

そして、あらゆる知識や思考というものは、認識者の視座ないし、その視座のおかれている社会的存在や位置に制約を受けていると指摘した。彼はこのような事態を<知識の存在被拘束性>と呼んだ。


また、彼は、文化社会学者A.ウェーバーの<自由に浮動するインテリゲンチャ(free-floating intelctuals)>という概念を積極的に援用した。社会がブルジョアジーとプロレタリアートに2極化する際の過渡期に、どちらにも属さない浮動層としての知識人層を指摘した。そして、特定の階層に拘束されないで自由に双方へ行き来ができ、両者を調停する人々=知識人階層こそが、社会状況の中で相関的ではあるが真理を見出せる存在であると指摘したのである。
# by ksnksociology | 2006-05-04 04:19 | その他の理論

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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