社会学理論・研究ノート-大昔の偉い人は何を考えたのかー


デュルケム②(連帯・自殺論・聖と俗)

彼の主要な研究は3つある。
1つ目は1887年に著した『社会分業論』である。その中で彼は、社会は近代に至る発展段階で、機械的連帯に基づく環節的社会から有機的連帯に基づくへと移行すると指摘した。
彼によると、前近代は環節的社会である。それは、機械的連帯に基づくため、成員の等質性を特徴とする。すなわち、役割の交代が容易であり、分業は発生しない。
一方、近代は有機的社会である。それは有機的連帯に基づくため、成員の異質性を特徴とする。すなわち、役割の交代が困難で、それゆえに分業関係が成立していると彼は指摘した。

2つ目は1895年に著した『自殺論』である。彼は、当時単なる個人的問題であると考えられていた自殺を、統計を駆使することによって、自殺の原因を特殊な個人的事情や心的疾患などの個人的条件だけに求めず、自殺者の置かれた社会状況と関連付けて分析を行なった。そして、自殺を自己本位的自殺集団本位的自殺アノミー的自殺宿命的自殺の4つに類型化した。これらの類型を通して、自殺者と自殺者の置かれた社会とのかかわり合いが、自殺に大きな影響を及ぼしていることを指摘したのが特徴である。

3つ目は生前最後に著した『宗教生活の原初形態』である。
彼は宗教を通じて人々を統合する力に関心を寄せ、オーストラリアの先住民の原始宗教を取り上げ、あくまで社会的事実として宗教の社会的起源や機能の解明を試みた。
このような前提から、彼は宗教を<聖>と<俗>の集合表象であると区分した。そして、<聖>の部分における<神聖な力>こそ、個人の心理に還元できず、個人に外在し個人を拘束するもの-すなわち社会的事実と合致すると分析したのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-06 16:25 | 古典的理論


デュルケム①(社会的事実とは)

フランスの社会学者、エミール・デュルケム(1858~1917)は、コントの後を受けて実証主義の立場に立ち、本格的に社会学を一つの科学として発展させた人物である。

彼は社会的事実を社会学の研究対象として規定し、これをモノとして扱うべきだと主張した。社会的事実とは、個人の心理的事実に還元されることなく、それ自体固有の論理を持って個人に外在し、個人を拘束するものとして存在するものと彼は定義する。
社会内で諸個人が社会からの期待に添うよう行動したり、自己を規制するなかには、「社会の期待に添わねばならない」など社会内の成員に共通に抱かれた意識が存在する。この意識を特に彼は集合意識と呼び、この意識こそが社会的事実の本質であると考えた。
彼の採った立場は多くの支持者を得て、社会学主義と呼ばれるにいたった。そして後の社会学の中心概念のとなる機能主義の礎となったのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-06 16:19 | 古典的理論


H.スペンサー(社会有機体論と社会進化論)

イギリスの哲学者、社会学者、ハーバード・スペンサー(1820~1903)は、コントと並び、創始期の社会学の提唱者の1人である。彼は、個人の自由と平等を重んじた自由主義的個人主義の立場を根本思想とした。 そして、『社会静学』(1850年)『社会学原理』(1876~1896)などの著作を通じて、独自の社会学を構築した。

彼の思想の背景には、社会は生物有機体と同質にあり各機能は相互に密接に連関している、また個人は社会に先行するものであるとの考えがあった。そして人類に最大幸福を実現しうる社会を理想型とし完全社会と定義した。


彼はダーウィンの進化論の強い影響から、社会有機体論社会進化論という2つの分析視座を構築した。
前者は、社会は諸個人の間の内的諸関係において1つの実在を形成するような全体であるとし、これはすなわち、完全社会の均衡-諸個人の営む社会的機能が相互に均衡を保つような状態-について考察するものである。

一方、後者は、社会の状態は諸個人の内的力を示す諸個人の活動がもたらすその時々の均衡であり、他者と競い合いながら淘汰を経て上昇していくものであるとした。これはすなわち、完全社会へ至る推進力について分析され、社会変動について考察がなされた。そこでその具体例として、軍事型社会から産業型社会へという社会の進化が指摘され、考察がなされたのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-04 05:04 | 創始期の社会学説


A.コント

「社会学」の創始者は、フランスの哲学者オーギュスト・コント(1798~1857)である。彼は著書『実証哲学講義』のなかで、ラテン語のsociとギリシャ語のlogosかsociology-<社会学>という言葉を作った。彼は、生産向上を図る応用科学として、経済学を高く評価していたが、当時の経済学の歴史性、全体性の欠如に不満を持っていた。それゆえ彼は実証科学としての社会学の成立を望み、独特の学問体系を示した。それは、社会を一つの有機的全体と捉え、全体的な立場から社会理論を構築しようとするものである。よって、彼の社会学は社会全体を包括する体系であり、綜合社会学と呼ばれた。

彼は、社会を社会静学(social statics)社会動学(social dynamics)という視座から分析しようとした。
前者は、人間が共存する社会の秩序の解明を試み、後者は、進歩の法則を解明を試みるものとされている。彼はこれら双方の視点から、複合的に社会を考察しようとした。

また、彼は社会の発展とその歴史性に着目した独自の分析から、三段階の法則を唱えた。人間社会の発達の歴史は<人間の精神の進化>によって支配され、それぞれ<神学的段階>-<形而上学的段階>-<実証的段階>という3つの段階によって説明した。そして、それに対応して社会の状態も<軍事的状態>-<法律的状態>-<産業的状態>へと
発展すると考えた。
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# by ksnksociology | 2006-04-04 04:28 | 創始期の社会学説


社会分析の基本的視座

社会分析の基本的視座は大きく2つに分かれる。それは、「社会を個人の視座から分析する立場」と「社会を社会全体の視座から分析する立場」という2つである。


「社会を個人の視座から分析する立場」の代表選手は方法論的個人主義(methodological individualism)である。
社会をそれ自体として単一的実在として見なさず、社会あるいは社会的諸関係の分析単位を個人に求め、諸個人の行為及び個人間の相互作用から出発して社会の様態を説明していこうとする方法的志向である。
一方、「社会を社会全体の視座から分析する立場」の代表選手は方法論的集合主義(methodological collectivism)である。それは、社会を部分や要素の単なる総和を超えた独自の性格を持つものと考え、それを部分や要素に還元しては説明がつかないという立場にたち、社会あるいは社会的諸関係の分析単位を、個人ではなく集団もしくはより下位の社会関係に求める方法的志向である。


この他に、社会というものを「部分」と「全体」という区分に注目し分析する視座を特にミクロ・アプローチマクロ・アプローチという。
ミクロ・アプローチとは、社会は基本的に複数の要素から構成される複合体という前提から、単位要素に分割して捉えようとする立場である。
マクロ・アプローチとは、社会は、それを構成する諸部分には還元できない特性を有するという前提から、集合体全体の状態や、運動をそのまま全体として捉えようとする立場である。



社会名目論(social nominalism)とは、社会や集団のそれ自体としての実在性を認めず、それらを諸個人の相互関係に還元する考えである。社会は個人の寄せ集めであって名目的なものに過ぎず、個人のみが実在するとする立場である。ジンメルの形式社会学やシカゴ学派の関係主義、また、ウェーバーの理解社会学なども社会名目論である。
一方、社会実在論(social realism)とは、社会が諸個人からなるにせよ、社会は諸個人から自立し、個人には還元されえない独自な性質を持つ実在物であるとみなす立場である。コントの社会有機体説、デュルケムの集合表象説や、社会を人間の本性そのものを作り出す心的現実とみなすクーリーの見解も一種の社会実在論である。
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# by ksnksociology | 2006-04-01 08:08 | 社会学とは何か


社会学のはじまり

社会学とは、社会-複数の人々が関わり、織り成すさまざまな現象ーを
実証的事実-客観的に観察できる事実ーとして捉え分析する実証科学の一つである。

フランス革命による封建社会の崩壊と近代市民社会の成立、加えて産業革命による生活様式の変化という大きな変動は、人々の生活の基盤である社会に対して新たな問いかけをもたらした。

さらに、この時期よりも早く見られた自然科学の発達は、客観的事実の認識という科学的認識を広く学問の世界にもたらした。この自然科学的認識観は、客観的事実として社会というものを観察、分析するという実証的研究を目的とした社会学という学問を成立させる大きな土壌となったのである。
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# by ksnksociology | 2006-04-01 06:08 | 社会学とは何か

    

大学院入試・試験用のメモ。底本…公務員試験地方上級・国家Ⅱ種バイブル⑩社会学<新装版>(早稲田経営出版)A.ギデンズ『社会学』第4版(而立書房)など、まだまだ追加予定!
by ksnksociology
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