彼は、自らの基本的視座に<
機能概念>を据え、社会構造とアノミー、準拠集団論、マス・コミュニケーション論、科学社会学などについて社会理論の構築に取り組んだ。彼は機能主義的理解について「社会学的解釈の諸問題を取り扱う現代の研究方法の中で最も有望である反面。恐らく最も系統だてて整理されていないもの」と指摘する。
彼は機能を考える際、当事者による主観的側面でなく、第三者によって観察された客観的側面に焦点を当てる。そして機能概念を「
一定のシステムの調整や適応に貢献する客観的結果」と定義した。
そして新たに、
順機能と
逆機能という対概念を設定した。<順機能>とは一定のシステムに積極的な貢献をなすものを指し、<逆機能>とは負の貢献をなすものを指す。この概念の導入によって、均衡や不均衡、静態と動態とを統合しうる機能分析が可能になった。特に<逆機能>概念の導入は、社会構造内のひずみや矛盾、緊張や葛藤の測定を可能にした。
これに加え彼は、行為などの客観的結果と主観的意向とが一致する場合を<
顕在機能>、一致しない場合を<
潜在機能>と区分した。これにより、一見非合理的な社会現象について、潜在的な機能を見出すという視点から、背後にある問題まで深く分析することが可能になり、潜在機能を含むより広範な研究領域の拡張がなされることになった。